ステレオタイプ化せずに、いかに若者の真のニーズを探り、掘り起こせるか。そこがポイントなのだ。例えば、自動車には、思いもよらぬ競合が登場している。実は最初に紹介した記事のタイトルは、「秋冬レジャー バスツアー若者も乗る 入場料・食事込みでお得感 免許証離れも影響」。中高年向けとのイメージが強いバスツアーの客層が変化しているのだ。
はとバスによると、20代の利用者は全体の約2割と、この4年で倍増したという。中高年向けに日帰りバスツアーを催行するぽけかる倶楽部でも、9~10月に20~30代の利用者が全体の1割に達し、昨年の3倍に急増しているという。
■のび太を救うのは・・・
クルマの価値要素を分解して考えれば、中核的便益は「移動・輸送」だ。欠かすことのできない実体的価値は「デザインやインテリア、燃費や走行性能、安全装置」。魅力を高める付随機能が「サービス・メンテナンスやローンの支払い方法」などになる。
現在の若者のクルマに対するニーズは中核的便益の実現にしかないため、バスツアーが思いもよらぬ競合として登場しているのである。
地方においては公共交通機関が弱いため、自家用車の「移動、輸送」という車の中核価値が欠かせず、免許取得率も高い。都市部では代替手段が多く免許の絶対的必要性が低い。
「エコ」という観点からも、車の購入費用や維持費というコストを考えても、スネ夫よりものび太が主流になっていくのではないか。
前掲の特集「コスパ世代を探れ」では、「仲間との会話の道具や場、ネタになるものに対しては財布がゆるむ。ファストフードの新商品は、格好の話のネタ。社会貢献付きボランティアツアーが人気なのも『関心を共有する仲間との、旅先での深い会話も魅力だから』と分析、「収入よりも、きずなとつながり。『円』より『縁』に生きる足場を築く。新たな物差しが新しい消費を生みつつある。社会構造が揺れ動く今、個人の縁こそが安心につながる。長い目でみれば、共生の時代ならではの合理的な消費行動といえる」とまとめている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら