「経験をシェアする」という価値観が高まれば、ツアー自体にテーマ性を持たせることによって同好の志と出会えるという、付随機能も提供できる。そう考えると、「免許を取ろう」よりも、「バスツアー活況」の方が環境との整合性があるように思える。また、「免許を取ろう」であれば、その先にあるのは「クルマをシェアしよう」になるのかもしれない。
かつての若者は、DCブランドにはまってローン組んで服を買った。現在はファスト全盛。 見栄を張る、モノにのめり込むといった肩に力の入った消費は過去のものとなった。トヨタが業界1位の座にかけて、市場の縮小に歯止めをかけたいというキモチはよくわかる。しかし、ドラえもんに頼みたいのはトヨタ自身で、若者のニーズは既にそこにないのかもしれない。
人と人の付き合い方・関係は確実に変化している。それにつれて、モノとの付き合い方も変化しているはずだ。クルマありきで考えていると解は見えてこないだろう。
のび太はしずかちゃんと、バスツアーでバーベキューに行く時代になったのだ。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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