(第23回)大企業が小企業の8割を支配している

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まず、総資産中の投資用株式の比率を見ると、企業規模によって著しい差があるのが印象的だ。資本金1億円未満の企業(以下「小企業」と呼ぶ)では、この比率は5%未満だ(注)。しかし、資本金10億円以上の企業(以下「大企業」と呼ぶ)になると、この比率が突然高まり、総資産の実に4分の1を投資用株式が占めるようになる。

株式の保有額(図に示していない)でいえば、大企業が161兆円、小企業は16兆円であり、大企業が圧倒的に大きい。資産額そのものが大きいので当然のことだが、投資用株式保有率の高さも影響している。

大企業の保有額161兆円は、大企業以外の株主資本の合計195兆円の82・4%に相当する。仮にこれが支配関係だとすれば、資本金10億円未満の企業の8割以上は、資本金10億円以上の大企業に資本的に支配されており、独立の資本額は2割未満しかないということになる。

もちろん、投資用株式のすべてが系列子会社の株式というわけではないだろう。しかし、かなりは親会社による子会社保有であると解釈してよい。系列関係なのかどうかを見るには、個々の企業を具体的に見る必要がある。これについては、後の回で述べる。

なお、日本の株式市場の特徴は、「株式の持ち合い」だと言われる。確かに、金融機関と大企業は持ち合いだ。しかし系列関係においては、下請け企業が親企業の株を持つ比率は少なく、大企業が小企業を一方的に支配する構造と考えられる。

投資用株式保有額は、全産業(金融・保険含まず)では186兆円、製造業で62兆円、金融機関・保険で5・8兆円だから、全体に占める金融機関保有額の比重はかなり低い(このことは、個々の企業の株主状況を見ても分かる)。

(注):中小企業基本法による「中小企業者」の定義は、製造業・その他の業種では、従業員300人以下または資本金3億円以下。

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