Airbnbでは「性的暴行」の被害が起きている 他人の家に宿泊するときの注意点は?
7月4日の夕方、ミカエラ・ジャイルスの携帯電話から緊急事態を知らせる音が聞こえ始めた。そして、ホラー映画のようなメッセージがいくつも画面に現れてきた。
メッセージは、彼女の19歳になる息子からだった。マドリードのAirbnb(エアビーアンドビー)のホスト(部屋の貸主)が、集合住宅の4階の部屋に彼を閉じ込めカギをかけたというのだ。息子はその部屋に宿泊する予定だった。息子のメッセージによると、ホストはまだ部屋の外にいて、台所の引き出しでナイフをガチャガチャいわせながら、性的行為に応じるよう迫っているという。息子は母親に助けを求めていた。
閉じ込められた息子…誰も助けてくれない
母親はAirbnbに電話をかけた。だが、同社の従業員は息子の宿泊先の住所を教えず、警察に電話をしようともしなかった。彼らは母親にマドリード警察の電話番号を伝え、住所を知りたいなら、マドリード警察からAirbnbに電話をしてもらうようにと言った。だが彼女によると、その番号に何度かけても、スペイン語のメッセージが流れるだけで電話は切れてしまったという。そして、Airbnbの窓口に繰り返し電話をかけると、しまいには留守番電話のメッセージが応答するようになった。
息子のジェイコブ・ロペスによると、その晩、彼は性的暴行を受けたという。最終的には、彼は自分を解放するようホストを説得した。今はマサチューセッツ州の自宅に戻って、心的外傷を癒すセラピーを受けている。
ホストは男性として生まれたが女性として生活している人物で、ロペスの訴えを否認している。彼女はロペスを脅してはいないとし、性的行為も合意の上だったと話した。しかし、仮に彼女が正しかったとしても、ロペスが警察にウソの報告をしたり、自分の体験を公表したりすることで、悔やまれる経験を葬り去ろうとするとは考えにくい。
だが、ここで問うべき問題はAirbnbについてだ。同社は顧客の安全に関して、どの程度の責任を負うつもりがあるのだろうか。Airbnbは顧客を「ゲスト」と呼び、自社独自の安全対策と接遇を実施している。だが、ロペスのケースでは、Airbnbは一般的なホテルの対応とは異なる行動を取った。つまり、誰かを派遣してロペスの様子を見に行かせるのではなく、ロペスの母親にその責任を押し付けたのだ。