金価格の高騰にめげない田中貴金属の節約力

拡大
縮小

ただし、金をはじめとする貴金属には値段の高さという欠点がある。そのため工業製品では、貴金属が地金のような塊として使用されることはほとんどなく、一部分にごく微量使用されるにすぎない。それでも、顧客の単価削減要求はやむことはない。ましてや貴金属価格の上昇局面では、風当たりは強くなる。

「貴金属を扱いながら、いかに貴金属を減らすかをつねに考えている」と原氏は語る。部分当たりの貴金属の使用量をできるだけ減らし、顧客の負担を軽減する。この“節約力”こそが、同社の工業製品部門における収益拡大の方程式である。

この方程式で世界トップシェアを維持している好例が、ボンディングワイヤ(以下、ワイヤ)事業である。ワイヤは、半導体の集積回路(IC)チップと、半導体パッケージの内部配線として使われるリードフレームとをつなぎ、電気を流す役目をする。同事業はグループ企業の田中電子工業が手掛け、世界シェア約4割を握る。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT