ドンキが、中国人も地方客も惹きつけるワケ 変幻自在のビジネス戦略、イオン社長も賞賛

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MEGAドンキ店は食品販売が好調(撮影:風間仁一郎)

増税後は3段階作戦で、まず商品を安くして客数を増やし、次に商品の幅を広げて客単価アップにつなげ、そして現在は第3段階となる粗利率アップを進めるべく、非食品を中心に付加価値の高い商品を増やしている。

ドンキは季節品の売れ残りやメーカーの商品リニューアルに伴うスポットの流通在庫を安く大量に買ってそれを売り切る力が強い。「世の中のスポット在庫が過剰になっている」(高橋CFO)といい、ドンキにとっては追い風のようだ。

それを支えているのが現場力だ。大原社長は「個店主義に徹底してシフトしている。現場力が真価を発揮した」と話す。各店舗の裁量権が高く、従業員自らが流通在庫であるスポット商品を仕入れて、巧みな圧縮陳列とPOP広告で売り切る仕組みだ。「めちゃくちゃ安いわけではないが、安く見えてしまう」(業界関係者)のが強みともいえる。

イオン社長がドンキを賞賛

2016年6月期は売上高が前期比6.7%増の7300億円、営業利益が同1.8%増の398億円を予定しており、成長が減速するかのように見える。だが、既存店売上高は訪日外国人客が0.5%プラス、通常客を横ばいの前提にしており、業績予想はかなり保守的と言わざるを得ない。

「ドンキには見習うべきところが多い」。イオンの岡田元也社長は7月下旬に行われた記者懇親会でドンキの成長を手放しで褒めていた。かつてはドンキの安田隆夫・前会長(6月に退任)とオリジン東秀買収をめぐって一戦交えたこともあるだけに、発言は印象的だ。それが今のドンキの強さを映しているのかもしれない。はたして成長はまだ続くのか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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