ロードスター、買って乗って実感したこと これは「一般道で運転を愉しめる」クルマだ
筆者はこれまでに自動車関連の取材をする機会が何度かあった。趣味でモータースポーツに参加することも、しばしばある。しかし、基本は“一般的なクルマ好き”に過ぎない。ITやエレクトロニクスが専門のため、車の電装関連について話をすることはあっても、車体関係について記事を書くことはない。また、歴代ロードスターのファンでもないし、マツダというメーカーのファンというわけでもない。
ロードスターファンによる初期デリバリー車両の争奪戦が予想される新型を、なぜ試乗もできないようなタイミングで予約してまで購入したか。ひとことだけその理由を述べるなら、“比較すべき車がほかに存在しなかった”からだ。
ロードスターは2座のオープンカーであると同時に、スポーツカーでもある。人々がスポーツカーに求める要素はさまざまだが、絶対的な速さ(強烈な発進加速や中間加速、高速域での余裕)を求めるのであれば、ロードスターは向かない。パワフルさとそれに見合う車体設計という点では、自国に200km/hを越える速度を許容する高速道路を有するドイツメーカーが優位なことは間違いないだろう。
筆者も「GOLF V R32」のオーナーとして9年目を迎えているが、そのパワフルさとスタビリティ(安定性)の高さに感心したものだ。ドイツでのレビューツアーでは最新のGOLF 7 GTIでの高速移動も体験した。
メーカーや車種によって程度の違いこそあれ、ドイツ製の高性能車が指向しているのは、世界中を見回しても例がない自国の高速道路網での性能、安全性だ。そのおかげで、低速度域での安心感も演出できていることは間違いないだろう。
日本の道路事情で「操る愉しみ」を感じさせる車
一方でスポーツカーには“操る愉しさ”も求められていると思う。真っすぐな高速道路を超高速で移動する能力だけではなく、車の姿勢を思いどおりに制御しながら発進し、減速し、向きを変え、加速し、停止する。一連の動作に対するフィーリングも重要だ。
実は9年目を迎えた前出の車種を買い換えるのではなく、1.5Lという小排気量(馬力もトルクも排気量も前車に比べ約半分)の新型ロードスターを“追加”しようという結論に達したのは、日本の道路事情や日常的に使う車として考えた際に、自分自身で“操る愉しみ”を感じさせる車がいいと考えたからだ。
そうした観点で言えば、新型ロードスターとほぼ同時期に発売されたホンダのS660、あるいはトヨタ/スバルの86/BRZもあるではないか、との声もあるだろう。そうした中からロードスターを選んだのは、夫婦2人が移動するのに充分な積載性を持ちつつ、スポーティなハンドリングを獲得するために重要な“軽さ”を考えてのことだ。
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