ロードスター、買って乗って実感したこと これは「一般道で運転を愉しめる」クルマだ
ブレーキを“ドン”と踏んで減速すると車体が前のめりに傾き、前輪荷重になる。その瞬間、スーッとハンドルを切り込めば、クイッと鼻先が内側に向かい始める。ブレーキ踏力を残しながらコーナーの頂点に向かう際、前外輪が沈んでいることが感じられる。
少々古いネタで恐縮だが、昔ヒットしたコミック『よろしくメカドック』の、前外輪が沈み込みながらグィッと回り込むデフォルメされた画が頭に思い浮かんでくる。集中しながら運転していると、そんな状態を明確に感じることができる。
クリッピングに微かに残していたブレーキをリリースしてアクセルを踏み込むと、スイーッと鼻先が上がる。今度は、後輪の駆動力と踏ん張りが伝わってくる。
筆者が選んだS Lether PackageというグレードのMT(マニュアル)版は、ベースグレードのSや全グレードのAT(オートマチック)版にはないLSD(リミテッド・スリップ・デフ=左右の両輪にトルクを伝える仕掛け)とリア・アンチロールバー(カーブでの安定性を高める機構)が装着されているため、非装着車とは感じ方が異なるかもしれないが、後輪が踏ん張る中で、穏やかな効き味のLSDの動作を感じながら、落ち着いてアクセルを踏み込んで行くことができた。
前後・左右の姿勢変化がわかりやすい
新型ロードスターは、着座位置が従来モデルよりも少し後ろになっているためか、前後・左右に起きる姿勢変化の中心点が、自分よりも少し前、おへその前、膝頭の上あたりにあるように感じられ、姿勢変化がわかりやすい。
横滑り防止装置がオンの状態では、この一連の動作もややぎこちなくなる時もあるが、慣れてきたところで“オフ”に切り替えて走行すると、実にスムースに車体の動きが繋がる感覚を、単なる“車好きオヤジ”の筆者でも愉しむことができた。
その上で、限界付近での走りを繰り返していると、納車直後に感じていた“ややオーバーアクション”という印象が誤りではなかったことも実感する。
ミニコースのセッティングをしたいとのことで、講師だった東徹次郎選手に車両をお貸しし、実際に限界付近の走行をするのを拝見したが、一般的なスポーツカーの2倍ぐらいのロール量(左右に曲がる際の車体の傾き)がある。ロールが早く量も大きいが、その分、内輪の伸び側ストロークを長くすることで接地を確保している様子が見て取れた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら