「訪日旅行に関する現在とコロナ前の大きな違いは、中国人の訪日旅行客全体に占める団体ツアー客の比率が下がったことだ。2019年には団体ツアー客が3分の1以上を占めていたが、2024年1~3月期は1割前後だった」
ブルームバーグ・インテリジェンスで旅行業界担当のアナリストを務める朱聖壇氏は、財新記者の取材に対してそう語り、団体ツアー客の減少が訪日旅行客全体の回復を遅らせているとの見方を示した。
一方、航空業界を担当する別のアナリストは、中国人観光客のビザを免除した(タイ、シンガポール、マレーシアなどの)国への旅行客が増えていることが、訪日旅行客数の伸び悩みにつながっていると見る。日本政府は2023年に220万件の短期滞在ビザを中国人に発給したが、これはコロナ前の発給数の約35%にすぎない。
人手不足で発着枠増やせず
前出の何氏は、日本の観光産業が抱える様々な制約の影響を強調する。中でも深刻なのが、ツアーバスの運転手、ホテルの清掃スタッフ、レストランのサービススタッフなどの人手不足だ。
さらに、日本の空港の受け入れ能力不足も問題になっている。グランドスタッフの人手不足はもちろん、給油要員も足りないため旅客機への燃料補給が追いつかず、発着枠を増やすことができない。それが日中間の航空便の増便を妨げているという。
「日本観光に対する中国人の関心は依然として高い。今後、為替レートが円高方向に振れれば、欧米からの訪日旅行客は減少するだろう。そうなれば、日本政府は改めて中国人観光客の誘致に力を入れるのではないか」。何氏はそう期待する。
(財新記者:鄒暁桐、孫嫣然)
※原文の配信は8月6日
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