トランプ・バンス体制を作った「極右思想」IT富豪 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(下)

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なぜトランプはバンスを副大統領候補に選んだのか。トランプは最後の最後まで誰を副大統領候補にするのか迷っていた。最後まで残ったのはバンスとダグ・バーガム・ノースダコタ州知事とマルコ・ルビオ・上院議員の3人であった。

トランプが最終決定をしたのは共和党大会の初日の7月15日の午後である。トランプは自身のSNS(Truth Social)で「長い間、熟考を重ね、途方もない能力を持った多くの人について考え、副大統領に最も適した人物はJ.D.バンス上院議員であると決定した」と発表した。その20分前にバンスに直接電話して、「私たちは国を救わなければならない。君は最善の方法で私を助けてくれる人物だと思う」と告げた。

トランプにハイテク資産家を橋渡し

両者の関係が親しくなったのは、トランプがカリフォルニア州で選挙資金パーティを開催した6月頃からである。バンスはベンチャーキャピタリスト時代のコネを使って、トランプとシリコンバレーのハイテク資産家の橋渡しをした。バンスは上院選挙でトランプから支援を受けたことに感謝しており、トランプに最も忠実な政治家となっていた。

さらにトランプの側近もバンスを推挙した。特に2016年の大統領選挙でトランプを勝利に導いた極右のスティーブ・バノンや保守派のジャーナリストのタッカー・カールソン、バンスの親友であるトランプの長男のトランプ・ジュニアなどは、トランプに「バンスは最も忠誠を示す人物になる」と説得した。さらにピーター・ティールなど保守的な起業家も相次いでバンスを推した。

トランプにとっても、大統領選挙を戦ううえでバンスを副大統領にするメリットがあった。まずバンスがオハイオ州を地盤としていることだ。同州に隣接するペンシルバニア州やミシガン州などの“激戦州”での州の勝敗が選挙に決定的な影響を与える。これらの州は白人労働者の有権者が多い。

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