トランプ・バンス体制を作った「極右思想」IT富豪 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(下)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

バンスの“変節”を『ニューヨーク・タイムズ』は「バンスの過激化」と呼んでいる(2022年1月4日、Simon van Zuylen-Wood、「The Radicalization of J.D. Vance」)。

同記事の筆者は共和党の予備選挙でのバンスの様子を「バンスは予備選挙運動で数十人の有権者を前に、国を誤らせた企業と政府のエリートを15分にわたって攻撃した」と書いている。そして、「イェール大学のカルチャーショックがバンスの政治に対する考え方を変えた」と指摘する。

別の政治集会でバンスは「鉄鋼会社の仕事が海外に移転されただけではない。ワシントンの“愚か者”によってわれわれを嫌う国へ売り渡した」と怒りを込めて語っている。

文化問題は右寄り、経済問題は左寄り

そしてバンスは、新興富裕層のポピュリストの知識人が主張する「国家保守主義」の政治的アバターになり、文化問題では右寄りで、経済問題では左寄りの主張を展開している。

このグループは、主にカトリック教徒で構成され、反リベラル派で、大企業には懐疑的で、貿易政策や移民政策では国家主義的な主張を行っている。バンスは子供の頃はプロテスタントであったが、大学では無神論者になり、ティールの下でカトリック教徒に改宗している。

ちなみに、保守派インテリの多くはカトリック教徒に改宗している。プロテスタントは庶民宗教であり、神学的な体系は持たない。だが、カトリックは知的伝統があり、それが保守派インテリを魅了している。

次ページ共和党内のエスタブリッシュメントを批判
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事