トランプ・バンス体制を作った「極右思想」IT富豪 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(下)

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国家保守主義者は、共和党のエスタブリッシュメントを批判する。バンスは「エスタブリッシュメントに愛される代償はおもしろいことが何も言えないことだ。おもしろいことを何も言わなければ、アメリカが抱えている問題を解決する意味のある存在になれない」と、『ニューヨーク・タイムズ』の記事の中で語っている。

さらに「支配層のエリート社会は退屈だ。彼らはまったく反省がなく、ますます間違っている。私はある種の選択をしなければならなかった」と、政界へ足を踏み入れた理由を説明している。オハイオ州の白人労働者をイメージしながら、バンスは「私たちは産業の空洞化が労働者階級の家族を破壊すると理解しなければならない。労働者階級の家族を破壊すると、多くの社会的病理が入り込んでくる」と語る。

攻撃する標的はインテリ層

同記事の筆者は「バンスは自分を奪われた人々の保守的な擁護者だと位置付けている。ただ自分が一緒に育った人々の失敗ではなく、彼が属する専門家階級の失敗を是正しようとしている」と指摘している。バンスの攻撃の標的はインテリ層である。それは、別の場所での発言だが、バンスは「大学は敵である」と過激な発言をしているのも、そうした意識があるからであろう。極めて過激なポピュリズムである。トランプのポピュリズムはご都合主義であるが、バンスのポピュリズムは理論的であり、より強固な主張である。

同記事の筆者は「バンスにとって、過去数十年の物語は、左翼の社会的な寛容と右翼の自由市場の信条と融合して、新自由主義という魂のない倫理を作り出したということだ」と興味深い指摘をしている。バンスは「過去20年または30年のアメリカの女性解放主義者の基本的な嘘は、女性がゴールドマン・サックスの小さな部屋で週90時間働くことが女性の解放だと言っていることだ」とも語っている。

さらに「子供のいない猫の女性」に言及し、「この国では権力を持ち過ぎた多くの奇妙な猫の女性がいる」と発言している。極めて女性差別的表現である「猫の女性」という言葉が、今、蘇っている。共和党がハリス副大統領を非難する際に、この言葉が使われている。

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