2015年版のCSR(企業の社会的責任)企業ランキングもこれで最後。今回は「高成長ランキング」を紹介する。
※最新のCSR関連ランキングはこちら(「総合ランキングトップ700社」「部門別」「業種別トップ20」「金融・未上場版」「女性が働きやすいトップ300社」「内部通報が多い100社」)
CSR企業ランキングは、幅広い活動をする超大手企業が上位になりやすい。いずれも素晴らしい企業ばかりだが、株式投資や就職先選びで本当に知りたいのはこういうところだけではない。
将来に期待を持たせる企業を探求
たとえば、現状のCSR全体のレベルは高くないものの積極的に活動を進めている企業は今後、大きく伸びる可能性は高い。これらを知ることができれば、有望銘柄や自分にあった会社選びに役立てられるかもしれない。
そこで、こうした将来に大きな期待を持たせる企業を探すために毎年作成しているのが、CSRと財務の両面の成長率を考慮した「CSR高成長ランキング」だ。
作り方は以下の通り。2012年から2015年までの4年間のCSR企業ランキングの総合得点、CSR得点、財務得点を使い各年の上昇率で3年平均値を算出。このうち2015年の総合順位が300位以内で総合得点が3年連続でアップしている企業を対象に総合得点上昇率でランキングした。
1位はパナホーム。総合得点の3年平均上昇率は7.4%だった。パナソニック傘下の住宅会社である同社は総合ランキングが2012年380位、2013年260位、2014年233位、2015年229位と着実に順位を上げてきた。CSR得点の平均上昇率は15.0%。財務得点も上昇率2.2%で両者合わせて高い成長を果たしている。
パナホームの直近得点は人材活用75.0点→78.9点、環境78.3点→80.3点、企業統治+社会性65.4点→66.2点、財務235.2点→247.9点と微増ながら前年からすべてアップ。ただ、業種別では14位(水産・農林業/鉱業/建設業)と前年13位からダウン。全体的にCSR企業ランキングの得点は上がる傾向にあり、上位と比べると停滞気味ともいえる。
特に低い企業統治+社会性の得点が足を引っ張る。CSR活動のマテリアリティ(中心的な対応課題)の未設定、ステークホルダー・エンゲージメントの未実施、ESG情報開示のレベルなどで得点が伸びなかったのが原因だ。
同社は社会貢献・環境活動、多様な人材登用など多くの取り組みを行っている。しかし、基本方針が明確でないために一本筋が通っていない可能性がある。方針をはっきりさせることで取り組むべき内容が明らかになり、さらに優れたCSR活動になっていく。そうすれば総合ランキングはさらに上がり、2連覇も見えてきそうだ。
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