39項目で評価した人材活用はトップがSCSK(総合111位)。有休取得率は2011年度65.0%から2013年度95.3%まで上昇。長時間残業者のフォローやストレス診断など働きやすい環境整備を進めている。資格取得の奨励、階層別でのキャリアデザイン研修、社内公募・企業内ベンチャー制度といった能力アップにも積極的で並み居る先進企業を押しのけてトップに浮上した。
2位は富士フイルムホールディングス、ソニー、中外製薬の3社(98.7点)。金融機関として13位の第一生命保険、東京海上ホールディングスの2社(94.7点)が上位入りした。
環境は日産がトップ、財務はドコモ
26項目で評価した環境部門は日産自動車(同5位)がトップ。国内の販売会社でISO14001認証をベースにした日産独自の環境マネジメントシステム「日産グリーンショップ」制度を導入。製造部門だけでなく販売部門も含めた継続的な環境マネジメントシステムの維持に努めている。CO2排出量削減にも積極的で、「2016年度までに企業活動からの排出量を2005年度比でグローバル台当たり20%削減」という目標達成に向けて取り組んでいる。
2位はリコー、ダイキン工業、東芝の3社(98.6点)。製造業が上位を占めるなか、29位に住友商事(93.0点)が総合商社としてランクインした。
企業統治+社会性は「企業統治34項目」と「社会性27項目」の合計得点でランキング。トップはリコー(同10位)。グループ経営における重要なリスク項目は毎年見直しを行い内部統制委員会での承認を得るだけでなく、各リスクに対してリスク主管部門を定める先進的な仕組みを導入。他にも外部有識者を招いたステークホルダーダイアログを毎年開催し、統合報告書のレビューを実施。翌年度の作成に活用するなど外部との対話を重視している。
2位はパナソニック(99.4点)、3位アサヒグループホールディングスと昨年まで4年連続トップだった帝人の2社(98.7点)となった。
財務部門は3月に発表した「新・企業力ランキング」と同じデータを使用。収益性、安全性、規模の3分野、合計16項目での評価だ。トップはNTTドコモ(293.5点)。2位国際石油開発帝石(291.1点)、3位キヤノン(290.7点)と続く。
総合ランキング10位のうち8社(富士ゼロックスを含む)が、財務部門の30位までに入っている。財務力とCSRの両面を兼ね備える企業といえそうだ。
さて、これまでのCSRはサプライチェーンでの人権問題対応や環境負荷の減少など企業活動の負の面を減らしていくことが重要とされてきた。さらに近年は世界中に存在する社会課題を企業の力で解決することが求められつつある。本ランキングもこうした変化に対応して調査データや評価の仕組みを改善していく必要があると考える。
ただ、社会課題といった漠然とした話は研究者や投資家などCSRデータの利用側には注目されないこともある。中には、CSRの本質的な意味は二の次で「分析に使いやすい数値情報などをもっと開示してほしい」という声すらある。
投資家向けの統合報告なども動き始め、CSRは何を活動するかだけでなく、どのように開示すべきなのかという点も大きなテーマになりそう。しかし、その際に開示側と利用側にCSRについての認識に差があるように感じることも多い。
東洋経済新報社は、開示側も利用側も比較的よく知る立場にある。日本企業のCSR情報の開示についてお互いの立場を考慮した上で積極的に意見を述べていき、よりよいCSR活動・開示方法の発展に貢献していきたい。
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