喫煙で辞退「宮田笙子」なぜあれほど批判されたか 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【前編】
宮田選手も順天堂大学に通う19歳の大学生である。そう考えると、なぜ彼女の喫煙と飲酒はここまで問題視されたのだろうか? ここでは、過去の事例を振り返りながら、未成年とアスリートの「喫煙」について考えてみたい。
昔は子どもがタバコを吸っていた?
まずは、未成年の喫煙が禁止されるようになった歴史を振り返りたい。
「日経ビジネス」の「たばこの歴史に学ぶ“禁煙のヒント”」(2017年6月10日公開)という記事によると、江戸時代は歩きタバコの禁止令が出された程度だったそうで、年齢制限はなかったと推測されている。しかも、「子どもがタバコを吸っていたというエピソード」もちらほら見られるという。
とはいえ、今やタバコ1箱600円くらいする時代だ。当時もタバコは駄菓子感覚で購入できるようなものではなかったため、子どもたちもそんなに頻繁には吸えなかっただろう。
しかし、明治時代に入ると子どもたちは本当に「駄菓子感覚」でタバコを購入するようになった。というのも、京都のタバコ商「村井兄弟商会」が外国から輸入した紙巻きタバコのPRのために、トランプ花札、軍人の写真、西洋の女性画など、当時の子どもたちが喜ぶ絵が描かれた「タバコカード」を「おまけ」に付けたのだ。実際にJT(日本たばこ産業)の企業博物館「たばこと塩の博物館」に展示されているタバコカードを見るとわかるが、これらはカラフルでオシャレである。確かに欲しい。
このおまけに子どもたちは夢中になり、ほかの資料によると小学校でも子どもたちがタバコを吸う光景が当たり前になったという。筆者も喫煙者だが、さすがに小学生のときはタバコを吸いたいと思ったことがない。明治時代にNintendo Switchとドッジボールはなかったとはいえ、昔もたくさん楽しいことはあったはずだが……。
さすがに「世も末」と大人たちは思ったのか、1900(明治33)年に20歳未満の喫煙を禁じる「未成年者喫煙禁止法」が施行される。
今回は深掘りしないが、1922(大正11)年には「未成年者飲酒禁止法」も作られた。そして、1930(昭和5)年には「麻薬取締規則」というアヘン、大麻、コカインの流通をコントロールする規則が制定されている。
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