社員同士が「友だち」でもある会社の業績が良い訳 職場での充実した人間関係が生産性を左右する

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ウォーリック大学の社会学者リン・ぺティンガーはある研究で、小売業で働く若い女性は職場に友人がいることが多いことを発見した。それは彼女たちの職場では普段は会えないような人と懇意になれるからだった。

これらの友人のネットワークは仕事の機会を与えてくれるという意味でも重要なので、仕事上の関係の有無にかかわらず緩いつながりがあった。

年長の労働者は家族への責任もあって職場以外では社会的な関係を持たないかもしれないが、職場の友人関係は親密であることが多く、自分自身やパートナー、子どもたちの人生について互いによく知っていた。

職場に「オフィスパブ」を開設した企業

大手酒造企業のSABミラーに17年以上勤めたサマンサの経験は、職場における友情の持つ力を証明してくれる。

SABミラーは世界中の職場に出会いの場として「オフィスパブ」を開設し、意図的に社交的な環境を整えた。その結果、同僚たちが終業後に自社の製品を求めて(アルコールでもソフトドリンクでもよかった)そこに集った。

つまり、アルコールが入るから社交が活発になるというより、社交する「機会」が大事だということがわかる。オフィスパブは、同僚ならみな歓迎される「村の広場」のような存在なのだ。

SABミラーがABインベブに買収されて数年経っても、職場の友情は生き残った。SABミラーのフェイスブック・グループは今も盛況で、世界各地の交流会も継続して開かれている。SABミラーのネットワーク(納入業者が含まれることも多い)は健在だ。

(翻訳:鍛原多惠子)

トレイシー・カミレッリ オックスフォード大学研究員

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Tracey Camilleri

オックスフォード大学サイード・ビジネススクールのアソシエイト・フェローであり、オックスフォード・ストラテジック・リーダーシップ・プログラム(OSLP)のディレクターでもあった。サマンサ・ロッキーとともにトンプソン・ハリソンを創業した。キャリアの初期にはコンサルタントや銀行員、教師や起業家などさまざまな仕事に携わった。

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サマンサ・ロッキー オックスフォード大学研究員

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Samantha Rockey

オックスフォード大学サイード・ビジネススクール・オープンプログラムのアソシエイト・フェロー。FTSEトップ10企業でABインベブに買収されたSABミラーでは、リーダーシップ開発部門のグローバル・ヘッドを務めていた。

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ロビン・ダンバー オックスフォード大学名誉教授

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Robin Dunbar

オックスフォード大学の進化心理学が専門の名誉教授。マグダレン・カレッジの名誉フェローであり、ブリティッシュ・アカデミーのフェローに選出された。社会脳仮説や言葉の進化のゴシップ理論、ダンバー数(管理できる人間関係の上限は150人である)でもっともよく知られている。著書に『友達の数は何人?:ダンバー数とつながりの進化心理学』(藤井留美訳、インターシフト、2011年)、『人類進化の謎を解き明かす』(鍛原多惠子訳、インターシフト、2016年)、『ことばの起源:猿の毛づくろい、人のゴシップ』(松浦俊輔/服部清美訳、青土社、2016年[新装版])、『なぜ私たちは友だちをつくるのか:進化心理学から考える人類にとって一番重要な関係』(吉嶺英美訳、青土社、2021年)、『宗教の起源:私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』(長谷川眞理子解説、小田哲訳、白揚社、2023年)がある。

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