「勝算の低い戦争」に日本が突き進んだ背景事情 行動経済学で紐解く、日本軍部の心理

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わかりやすい例が宝くじです。宝くじでは1億円が当たる確率はとても低いのに、「もしかしたら当たるかもしれない」といった非合理的で歪んだ判断をすることがありますよね。多くの人は日々の生活のなかでも「確率を正しく認識できず」に行動を取っているのです。

当時の状況で考えてみましょう。まず、実際、当時の軍部が有力な経済学者に日本の国力でアメリカに勝てるのかどうか、シミュレーションを実施させたところ、多くの経済学者の答えは「ノー」でした。

日本にあった2つの選択肢

日本の国力とアメリカの国力の差から開戦しても勝算が低いことは軍部もわかっていたのです。そのうえで、日本には2つの選択肢がありました。

日本の2つの選択肢
① アメリカに戦争を仕掛けない
② アメリカに戦争を仕掛ける

①はアメリカの資金凍結・石油禁輸措置などの経済制裁によって日本の国力は弱ってきており、このままでは2~3年後にはアメリカにひれ伏すことになる。それでも戦争を避けることで破滅的な損失を防げるので、これをやむを得ないと考える。

②は高い確率で決定的な敗北を喫するが、極めて少ない確率で日本に勝算がある。すなわち、日本が東南アジアを占領すると、イギリスに対して優位に立てる。これには欧州戦線で同盟国のドイツが欧州で勝利する可能性があることを想定していました。

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