不振ゼネコンを救う、お手盛りの震災復旧予算
両社の今期受注目標は、今回の請負金額96億円(全体の5%)を想定しておらず、仮に震災が起きていなければ、受注や完工高の期初予想が下振れした公算が大きい。
業績が改善しなければ、入札時の評価で得点が稼げず、失注が増え、受注不振に追い打ちがかかる悪循環に陥る。業界関係者の間では、「絶対に破綻させないように、メインバンクがほかのゼネコンに営業支援を働きかけた」(ゼネコン幹部)との見方が震災前から広がっていた。今回のJV9社には“救済要請”が色濃く反映されているのは間違いない。
巨額の復旧費は、県財政から拠出するものの、実際は政府の第1次と第3次補正予算に盛られた総額7379億円の災害廃棄物処理費と、特別交付金で全額賄われる。県は環境省に対し11月11日までに災害報告書を提出する。この中身を環境省と財務省が査定、年内に国から県に補助金が支給される。つまり、鹿島JVへの請負代金は、地元負担ゼロで、すべて国庫負担だ。
災害復旧工事は、一般の公共工事のような事業評価を行わないため、見積もり額が膨らむ傾向は否めない。しかも、処理スキームは、生活廃棄物処理に適用される環境省の徹底したリサイクル指針がベースなので高コストとなりがちだ。
政局が混乱し、震災がれき処理を国の責任で行う法案が参院で可決、成立したのが8月12日。法案成立が長引いたため、県が募集要項を示した7月25日以前には事業規模の妥当性をチェックし、場合によっては、減額させるという政治的な判断を行う余地はなかったのか。