不振ゼネコンを救う、お手盛りの震災復旧予算
100年分の生活廃棄物を3年以内に全部片付ける──。
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市周辺で復旧工事が始まった。約1000世帯が全滅した南浜町の住宅地に隣接する雲雀野町と潮見町では、宮城県が県所有の臨海工業用地68ヘクタールに破砕・焼却プラント(日量1500トン)などを設置。県で発生したがれきの約半分(推定846万トン)と、津波堆積物の約3分の1(同380万立方メートル)を最終処分する予定だ。
県は政府のがれき処理の指針などに沿って、建設業者に対して処理スキームを公募。鹿島を中心とした共同企業体(JV)が1923億円で落札した(図)。公募には、大成建設が代表のJVが対抗馬となった。価格評価は同点だったが、処理の迅速さなど技術点で大差をつけ、鹿島JVに軍配が上がった。
危機的ゼネコンも参画 救済要請した金融機関
今回の受注案件は波紋を呼んでいる。前期(2011年3月期)に巨額の最終赤字を計上し深刻な受注不振にあえぐ若築建設と飛島建設が鹿島JVに加わったためだ。若築建設は今期の第1四半期(4~6月期)の単体受注高が前年同期比47%減の38億円にとどまり、通期で前期比18%増の520億円の計画達成が危ぶまれる正念場。飛島建設も350人の人員削減や本社移転といった大リストラに追い込まれるなど、苦境に直面している。