五輪で注目"スケボー"施設、求められる「かたち」 設置自治体増加の背景、選手層の厚みを下支え

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以前、記者が訪れたリニューアルが進むJR新潟駅の南口広場周辺もそうだった。

「ゴー」。夜、8時すぎ。スケボーを走らせながら3人の若い男性が現れた。「ガラガラー、ゴトン」。

勢いをつけてベンチの上に飛び乗り、着地する。そのたびに大きな音がする。目立つところに「スケボー禁止」のポスターがあるが、気にする様子はない。滑走は夜中まで続いた。

道路などでの練習で苦情や通報増えた

スケボーに関係する新潟警察署への苦情や通報が増えたのは東京五輪以降だ。滑走や落下で騒音が発生する。

広場の石畳はひび割れ、ベンチは傷つく。通行人の妨げになったり、あわや衝突事故になりそうなときも。夏から秋にかけては通報が100件を超える月もある。昨年は1472件の通報があった。

住民からの苦情を受けた新潟市は今年4月から新潟駅周辺でスケボーを禁止する条例を施行した。同様の条例は北海道札幌市、茨城県水戸市、大阪市、熊本市など各地にある。

スケートパークの設置は、こうした苦情を解決することにもつながるという。

ただし、「重要なのは、どんな施設を設置するのか、スケボーをやる人たちの声を吸い上げること。苦情をなくすため、スケーターを隔離するだけの入れ物になってしまっては、意味がない」

近年、施設の数は大きく増えた。しかし、「『スケートパーク』と呼べるような魅力があり、にぎわっている施設は全体の1割くらいしかない」と河崎さんは言う。

どんな施設が「いい施設」なのか。河崎さんはスケーターの視点から、意外なことを教えてくれた。

「例えば、『五輪選手の練習場』のような、競技に特化した施設を作ろうとする自治体も多いんです。けれども、そんな施設に人は来ません。『道場』みたいなところで滑っても楽しくないですから」

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