「負けた女子ボクサー」本国で批判が起きた顛末 アルジェリアのケリフ選手との対戦をめぐって
サルヴィーニの動きに便乗するかのように、首相のジョルジャ・メローニもカリニ選手の棄権後「公平な試合ではなかった」とコメント。メローニもサルヴィーニもバリバリの保守派で、古い家族的価値観の称揚、同性婚反対などを謳っているから、若者からは特に嫌われている。だからサルヴィーニとメローニのケリフ選手に対する攻撃も、LGBTQを認めない彼らの意思表示として受け取られ、リベラルな考えの若者たちから総スカンを食ったというわけだ。
で、その怒りが一気にカリニ選手に向けられたのだ。ネガティブコメントの中でもひどいものは、「カリニは政界と何か取引したのでは?」というものまで出る始末。
なぜ今回に限って騒ぎ出したのか
それはかなり極端な例としても、8月5日、沈黙を破ってケリフ選手が出したこのコメントを聞くと、もしかして?と思わなくもなくなってくる。
「私のことをずっと前から知っているし、一緒に何度も練習もしたのに、なぜ今になって、あんなことをしたのか。私を負けさせるためでしょう?」。あんなこと、とケリフ選手が言うのは、今回の試合に限って急に男性ホルモンの数値のことを持ち出し、オリンピックに参加するのはおかしいとイタリアサイドが騒ぎ出したことだ。
確かにイマネ・ケリフ選手はボクシング界に突如登場した選手ではない。中部イタリアにあるアッシジのスポーツセンターで、何度もトレーニングを受けていて、カリニ選手とも練習をしたことがあるというのだ。そして彼女は、アルジェリアのオランで開催された2022年地中海競技大会では旗手を務めた。その前の東京オリンピックでは、準々決勝でアイルランドの選手に負けてもいる(つまり男だから圧倒的に強いという論理も当てはまらない)。
ちなみにカリニ選手は、東京オリンピックでも試合途中で足が痛いと言って棄権している。
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