井上礼之・ダイキン会長兼CEO--「あかんたれ」が空調世界一、人好き・帰属感・衆議独裁《上》

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縮小

極め付きは、多角化事業からの撤退である。ロボット、医療機器、床暖房、真空ポンプ。ダイキンの未来を担う事業として晩年の山田が心血を注いだ四つの新規事業は、130億円近くの赤字を垂れ流していた。

「主力分野に集中しなければ体質は強くならない。縮小均衡ではなく、主力分野を攻めるためにはおカネも人もいる。だからこそ、(多角化事業を)やめるんだ」。選択と集中に迷いはない。井上を苦しめたのは200人以上の人員の処遇である。

もちろん、首は切らない。が、「ロボット好きやから、真空ポンプやりたいから、ダイキンへ来てるわけ。日本一のロボットを作っているんですよ。『全然違う仕事せえ』言うのは、やっぱりつらい」。「人が基軸」と言いながら、思いを全うさせてやれない悔しさ。一人ひとりと面談し、説得し、去ったのは数人だけだった。

山田路線をひっくり返した井上はしかし、山田路線を支えてきた「群雄」たちを切ることもしなかった。自分でもよく耐えたと思う。全員、役職定年まで残した。

社内はバラバラになっていた。上を切れば、その下がさらに動揺する。「そういう人たちとチームワークを作っていってこそ、下にチームワークが浸透する。上をどけるだけでは、本当の衆議はできない」。

井上の人本主義は人情の機微に通じた、「人間通」の経営である。

劣等生・父への敬愛 「人好き」培ったロンド

自称「あかんたれ」だった。

「就職できるんやったらどこでもええわ」と思っていた。社名さえ知らなかった大阪金属工業に就職したのは父親のコネだ。「仕事に対する意欲も出世欲ももちろんない。刹那的にエンジョイすることばかり。たばこは吸うし酒は飲むし」。

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