サムスンが五輪パートナーを30年以上続ける価値 最新の機能やデザインを採用したスマホを投入

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パリのポップアップスペースで最新技術を体験(筆者撮影)

オリンピックパートナーを続ける理由

大手企業がオリンピックという世界最大級のスポーツイベントの公式パートナーになる理由は、第一に自社製品の拡販のための宣伝目的があるだろう。オリンピック期間中は国をあげてのお祭り騒ぎとなるため、普段はスポーツを見ない人でも気が付けば各競技の話の輪に加わることも多くなる。知らず知らずのうちに公式パートナー企業の名前や製品をネットやTV、街中のデジタルサイネージで何度も目にするはずだ。

特にこれからの購入主力層となる若年層、今でいえばZ世代に向けてブランドをアピールするためにオリンピックは最高の場と言える。サムスンのビクトリーセルフィーはZ世代が好むSNSを使った交流に合わせたパフォーマンスであり、しかも折りたためばコンパクトになる最新の折りたたみスマートフォンを選手が使うことでより大きな注目を集めることができる。

パリオリンピックではIOCと共同で新たなデジタルコミュニティ「Together for Tomorrow, Enabling People」を立ち上げた。これは世界中の若者をオリンピック・ムーブメントに参加させ、テクノロジーとスポーツの変革力を活用して世界に有意義な変化をもたらすことを目的としたものだという。

さらにサムスンは「Team Samsung Galaxy」プログラムを通してオリンピックに出場する若いアスリートの支援も行っている。その中には2021年の東京オリンピックから正式競技になったスケートボードやサーフィンなど、Z世代とマッチする競技の選手も含まれる。

一方では大会選手に提供するオリンピックモデルスマートフォンを通じて選手のサポートや大会運営を支援。さらに目に見えない部分でもオリンピックに新しい体験を提供している。

たとえばセーヌ川で行われたセーリング競技のライブストリーミング配信は、フランスキャリアOrangeと協業して同国初のスタンドアローン5Gネットワークを両者で構築、高解像度かつ新たな視聴体験を世界中のオリンピックファンに送り届けた。オリンピックに向けて最先端の技術を開発することは、結果として自社全体の技術力を高めることができる。

サムスンは最新のイノベーションを世界中の人々に届けるために日々製品開発を行っている。そのイノベーションを披露する場として、オリンピックは最適な場所であるのだろう。これが長年公式パートナーを続けてきた理由だと筆者は考える。サムスンは2028年のロサンゼルスオリンピックまでパートナー契約を結んでいる。4年後はどんな技術やサービスで選手をサポートし、またオリンピックファンを楽しませてくれるのだろうか。

セーヌ川のライブ配信では最新技術で陰からサポート(サムスン電子提供)
山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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