キーエンス、なぜ最高益でも株価乱調続く ファナックショックだけじゃない、弱点とは?

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直近の株価推移を見ても、7月28日終値と8月6日終値との比較で、ファナックが5.5%下げたのに対し、キーエンスは5.4%の下げと下げ幅はほとんど同じ。業績軟調のファナックと最高益のキーエンスで株価動向が似通ってしまった背景には、やはり「株主還元」スタンスの差が影響した面がありそうだ。

9月の株主総会で剰余金処分議案はどうなる?

「(株主還元への考え方について)特に変化はないが、基本的な方針としては安定的な配当を継続していく」――。キーエンスの山本社長の説明からは、大幅増配や株式分割、あるいは自己株買いなどを行う可能性はまだ感じにくい。

ただ、業績面では、今年度も通年ベースで過去最高更新を目指しているだけに、投資家の株主還元への期待がさらに膨らむことは確実だ。すでに配当性向60%まで打ち出してしまったファナックに比べれば、配当性向10%そこそこのキーエンスの株主還元余地は大きく、つまりは潜在的な株価の上伸余地も少なくない。

キーエンスは今年度、3カ月決算期末の2015年6月と、9カ月決算期末の2016年3月の株主に対して、それぞれ50円と150円の配当を予定している(配当金合計200円は前2014年度と同額)。9月11日に開催される2015年6月期の株主総会で、まずは50円を配当する剰余金処分議案にどれだけの賛成票が集まるのか。それが同社の今後の株主還元の行方を占う試金石となりそうだ。
 

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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