キーエンス、なぜ最高益でも株価乱調続く ファナックショックだけじゃない、弱点とは?

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実際、4~6月期の海外売上高は前年同期比24%増と大幅に伸びた。北米・中南米が前年同期比5%増、欧州その他が16%増だったのに対し、アジアは49%増と突出。中でも中国、台湾、韓国、タイなどが牽引した。伸び率が比較的小さかった北米にしても、「営業マン増強で昨年大きく伸びた。当期においても減速感はなく、高止まりという認識」(山本社長)という。

キーエンスでは昔から、特定の業界や大企業への依存度を高めすぎず、中小企業も含めた幅広い業種向けに直販コンサルティング営業を推進することで、リスク分散と高い粗利率の確保を図ってきた。こうした営業方針は、すでに売り上げ全体に占める比率が5割強に達した海外事業でも貫かれている。それが「中国」「スマホ」という限定的な顧客向けの減速で業績下方修正を余儀なくされたファナックなどとの違いといえる。

下方修正したファナックの純利益を猛追

キーエンスは従来から会社計画の業績予想を公表していない。足元の業績はすこぶる順調でも、年間を通して好業績を維持できるかどうか。中国減速のように経営環境がグローバルで流動化している中、投資家の間で不透明感が漂っているのは確かだ。

しかも今年度は、1年を3カ月(2015年3月21日~6月20日)と9カ月(6月21日~2016年3月20日)に分割する、変則決算となっている。今年4月1日以降に始まる事業年度から適用される法人税率引き下げの効果を、決算期末3月20日のキーエンスが極力早く享受するための措置だが、前期比での好不調を若干とらえにくくなっている。

とはいえ、四半期ベースで見た場合、キーエンスの純利益は2014年4~6月期以来、5四半期連続で前年同期比30%以上の伸び率を維持している。山本社長も「正式には発表していない」としながらも、今2015年度通年ベースの業績見通しについて、「売り上げ、利益ともに、過去最高の状態を目指していく」と明言。その言葉どおりなら、キーエンスの純利益は通年ベースで2012年度から4年連続での過去最高更新となる。

仮に、今年度の残り9カ月間も純利益が30%伸びるとしたら、2015年度通年の純利益は1570億円に達する(2014年度実績は1210億円)。残り9カ月間が多少減速して20%の伸びにとどまるとしても、通年での純利益は1470億円前後になる。

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大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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