パリの街並み「中国企業だらけ」の不思議な光景 現地中国人は「中国にいるのと変わらない」
もう1つの狙いは、名創優品とPOP MARTのリリースにあるように、ヨーロッパ市場への足掛かりだ。
両社ともすでにパリに進出済みだが、世界中が注目する時期にオープンすれば、大きな広告効果が見込める。
ブランドが乱立して価格競争が起きているティードリンクチェーンは、中国の自動車メーカーやカフェチェーンと同じく、海外展開に力を入れている。覇王茶姫は中国より海外市場を重視していることで知られる。
トヨタは撤退、中国企業のスポンサー増
パリ五輪では日本企業の活躍も報じられている。雨の開会式でも聖火が消えなかったトーチの燃焼部を製造したのは愛知県豊川市の新富士バーナー。エアウィーヴはオフィシャル寝具サポーターとして選手村に約1万6000床のマットレスを提供している。
日本企業は選手のパフォーマンスや大会の成功を支える存在として注目されているのに対し、中国企業はクラウドで配信をサポートするアリババクラウドのようなところはあるものの、全体としては大会に乗っかって自らの“映え”を狙っている感が強い。冒頭で紹介した名創優品の横断幕には「中国を後押しする」と書かれているが、むしろ自社が前に出て目立ちまくっている。
出場選手をアンバサダーに起用した中国企業の応援ポスターも街のあちこちに掲示され、現地で五輪運営を支援する中国人女性は「7月に入ってパリで中国語を見る機会が増えた。たまに中国にいるんじゃないか思うことがある」と笑った。
大会スポンサーの顔ぶれも、中国勢がじわりと増えている。
パリ五輪で国際オリンピック委員会(IOC)と契約した最高位のスポンサー「ワールドワイドオリンピックパートナー」は15社。中国企業は2017年に契約を締結したアリババグループと、コカ・コーラとジョイント契約して今大会から名を連ねる蒙牛乳業の2社。一方日本企業はトヨタ自動車、パナソニック、ブリヂストンの3社だ。
2015年に10年間の契約を締結したトヨタ自動車は、今大会を最後にスポンサー契約を更新しないと報道されている。ブリヂストンも今大会で契約満了となり、更新しない可能性がある。アリババは2028年、蒙牛乳業は2032年まで契約する。
中国メディアが「オリンピックの協賛に1億ドルを投じれば商品の認知度が3%上がるが、同じ規模の他の大会では認知度向上は1%にとどまる」と紹介するように、中国企業は五輪の宣伝効果に大きな期待を抱いていることがわかる。
最高位スポンサーは1業種1社が原則。トヨタ自動車が撤退した場合、その後に中国のEVメーカーが就くなんてシナリオもないとはいえない。
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