米国が利上げなら円高、1ドル105円も 日本株の今後の不安は「中国」ではない
このように考えると、日本株の今後の動向については、国内独自の材料に注力すれば良いように思われる。
しかし、日本の株式市場を外国人投資家が支配していることを考えれば、外部環境の影響から免れることは困難だ。とりわけ9月とも言われる米国の利上げがあれば、国内市場に大きな影響を与えそうだ。
米国利上げ後、ドルは天井をつけ円高になる可能性
筆者は利上げ実施後のドル安円高の動きを想定している。詳しい話は次回以降に譲るとして、結論だけを言えば、利上げ後にドルはピークアウトし、下落に向かうと考えている。その場合、ドル円相場は最低でも1ドル115円、場合によっては105円から102円程度まで円高が進むだろう。
その期間は利上げ後から最低半年、長ければ1年程度続くだろう。
一般的に利上げは株式市場には歓迎されないと思われがちだ。それは、円高圧力の高まりを背景に、「これまで日本株の上昇を牽引してきた輸出関連銘柄の上値が抑えられる」と考えられるからである。
しかし、筆者はむしろ米利上げが9月に実施されることを望んでいる。利上げにより為替相場がドル安に転じ、これが米国の多国籍企業の業績回復期待につながり、米国株の下値を支えると考えるからだ。
またコモディティ価格も反転するだろう。そうなれば、マイルドなインフレが期待でき、結果的に市場心理の好転につながるはずである。コモディティ価格の上昇は、資源関連銘柄の下落に歯止めを掛けることになる。ダウ平均株価やFT100種指数が他の主要株価指数に比べて軟調さが目立っているが、それは資源関連株が多く含まれていることが背景にある。
しかし、今後ドル安傾向が強まることで、コモディティ価格が反発すれば、これらの株価指数は他の主要株価指数をアウトパフォームするだろう。特に原油や非鉄金属などは需給緩和による価格押し下げ圧力が強かったが、これらを織り込む一方で、ドル安傾向が鮮明になれば、価格は上昇に転じよう。また、割安感の強い金(ゴールド)についても、ドルの下落が反転上昇に直結すると考えられる。
このように、これまで売り込まれてきた資源関連銘柄に新たな投資チャンスが到来するだろう。またこれらの動きは、少なからず日本株にも好影響を与えそうだ。特に売りが優勢となっている国内の資源関連株や商社株のリバウンドに期待したい。結果的に米利上げ後のドル安円高は日本株にはそれほどネガティブな材料にはならず、日米株が世界の株価上昇を牽引するだろう。そのため、利上げ前後の押し目は、絶好の買い場になるはずである。
今後1週間の日経平均は、2万円~2万0850円のレンジでの値動きを予想する。米雇用統計の発表もあり、短期的な見通しの設定は難しい。だが、米雇用統計が強い内容となれば、利上げ観測の高まりが一時的に日米株価を下押すことになりそうだ。
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