クルマ界の"カルトイベント"が公式化の意味 ディープなVolkswagenファンを訪ねてドイツへ
「なにが楽しいって、同好の士による情報交換です」。GTIトレッフェンの時代から参加しているドイツ人のGTIオーナーは、イベントに参加する理由を教えてくれた。
おもしろいのは、オリジナルの状態を保っていたGTIはごく限られていて、だいたい少しずつ手が入っていたこと。そこが日本と違う。モータースポーツ用にバリバリに改造したモデルも少なくないし、中にはピックアップボディや6ドアのリムジンに改造したクルマもあった。
「おもしろいイベントで、私は大好きですよ」。フォルクスワーゲン乗用車部門のヘッドオブデザインを務めているアンドレアス・ミント氏は、今年の会場でそう感想を述べていた。
「デザイナーとして興味を引かれるのは、改造ゴルフです。クリエイティブじゃないですか。私は会場を観て回るのが大好きですよ」。先述のID.GTIを準備しているミント氏は語る。
「公式」として続くことを願う
2025年も同様のイベントを同じ場所で開催するのだろうか。そのことを前出のザンダース氏に確認すると、「まだ決まっていない」との返事だった。
「評判を聞いて、収支をチェックして、内容的に次も同じようにやる価値があるか、これから考えていきます」と言う。メーカーとしては正しい見解であるが、イベントがマーケティングのツールになってしまっては、長年のファンが落胆するだろう。
少なくとも2024年は、メーカーの宣伝色が強かったとはいえ「初めて見るクルマが多い」(参加者)と評判も悪くなく、成功だったのではないかと私は感じた。
ただ、来年も同じクルマが並ぶようでは芸がなく、メーカーとしての展示に工夫が必要になってくる。何よりも、ファンが楽しめる場でなければならない。大変だろうけれど、ひとりのGTIファンとして、期待して待っていたい。
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