現代自動車、成長の4要因、サムスン抜き韓国トップ企業に
プレミアムブランドに劣らない品質と内装、デザインだけでなく、優れた燃費も受け入れられた。また、トヨタが09年にリコール事件を引き起こしたことや、東日本大震災の影響で日本車の国内生産が半年間で半減したことも、米国市場での現代自の成功に結び付いている。
10年、10万マイル保証を米国市場でブチ上げる
四つ目は、鄭夢九会長の卓越した経営感覚だ。鄭会長は金融危機の余波で09年に世界自動車業界が販売急減に苦しんだとき、果敢に在庫を減らす戦略を取った。為替差益で稼いだカネをマーケティング費用に充て、瞬く間に在庫を処理し、工場の稼働率を高めた。
「関係企業と共生すべき」との鄭会長の判断が、現代自と2000社に及ぶ部品関連企業を素早く回復させたのだ。
鄭会長は当初からマーケティングに注力していた。経営を引き受けた1999年、「10年、10万マイル保証」(動力系統の無償保証が10年もしくは10万マイルまで)を米国市場でブチ上げた。
当時、「2年、2万4000マイル保証」が一般的だっただけに、日本メーカーなどはこの施策に嘲笑を浴びせた。しかし、現代自の施策が顧客を引き寄せ成功を収めるや否や、ライバル会社も同調し始めた。
もっとも、この施策は現代自にとって大きな賭けだったといえる。「10年で10万マイル保証」の請求が、実際にブーメランのように戻ってきたら大変な事態になるからだ。しかし、10年を過ぎた今、そのような心配は杞憂に終わった。