ユーロ発「世界危機」、「銀行破綻」で新局面、資本増強は焦眉の急

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危機伝播のおそれが強いイタリアやスペインの国債まで含めると、デクシアは同比率が128%まで膨張。さらにデクシアを上回る大手行も出てくる。独ヒポ・リアル・エステート(200%)、スペインのBBVA(233%)、伊ウニクレディト(140%)などである。

独仏英の大手行の場合、被支援3カ国向けでは国債(約7兆円)以上に、民間向け投融資(約42兆円)が多い。仏系のクレディ・アグリコルとソシエテ・ジェネラルは、ギリシャの銀行子会社を通じた債権も懸念材料。ギリシャは緊縮財政や信用不安で景気後退が深刻化し、民間の不良債権増大にも要警戒だ。また独KfWはギリシャ向け223億ユーロの融資を独政府の保証で行っている。ヒポから国営「バッドバンク」へ移管された投融資も74億ユーロあり、独政府の潜在リスクは大きい。

デクシア解体決定後、最初の取引となった10月10日の米株式市場では、NYダウが330ドル高と急騰。独仏首脳が前日、欧州銀の資本増強を進める方向で一致し、10月中に具体策をまとめると発表したからだ。「デクシア破綻という不安要素の現実化が独仏の危機感を高め、銀行への資本注入という早期のアクションを促した」と、三菱総合研究所の武田洋子・主任研究員は評価する。

しかし「これで不安が払拭されたわけではない」(武田氏)。銀行資本増強の具体策を含め、依然多くの懸案が未解決のままだからだ。

銀行資本強化は両刃の剣 独仏の主張にも温度差

ギリシャは現状の支援体制では立ち行かず、抜本的な債務再編(=5割以上の借金棒引き)が必要、との見方が市場の共通認識。ほかに問題が波及しない“防火壁”を、いかに早く築けるかが目下最大の課題だ。

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