米国は「ゴルフの危機」に絶妙な対策を打った 日本のゴルフ団体は会議を開いてばかり

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面白いのが、各組織の得意分野をうまく生かしていることだ。一致団結するというが、同じプロジェクトを一緒にやるのではなく、むしろ各組織の個性とプロフェッショナルな部分を生かし、それに横串を通して、個々を全体で束ねるという統合学でシナジー効果を得ようということだ。

マスターズ委員会が主体で実施している「ドライブ、チップ&パット」は、地域予選、地区予選、地方予選を通過したジュニアたちが、4月のマスターズで開催される決勝大会に出場できる。そのゴールが明確で、しかも決勝大会は放映され、歴代チャンピオンたちがグリーンジャケットを着て応援するという筋書きである。7~9歳、10~11歳、12~13歳、14~15歳の男女各部門がある。

全米プロゴルフ協会では「ゲットゴルフレディ」プログラムがある。ゴルファーに99ドルで5回のレッスンを提供するもので、すでに35万8000人が参加しているという。

「LPGA・USGAガールズゴルフ」は、14歳までの少女が対象だ。今年は、5万人の参加を見込んでいるという。

具体的なアクションがない日本

日本にもゴルフ関連17団体が集まる「日本ゴルフサミット会議」というのがあって、ゴルフ活性化に取り組もうとしている。だがもう数年が過ぎているけれど、具体的なアクションがない。スローガンと分析と会議、総論賛成各論反対、縄張り争いという図式が続いているようだ。

個々の立場が優先して、全体と個という束ね方が下手な日本のゴルフ界。組織って、誰の、何のためにあるのかを勘違いしていまいか。

週刊東洋経済2015年8月8日・15日合併号

三田村 昌鳳 ゴルフジャーナリスト

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みたむら しょうほう

1949年生まれ。大学卒業後、『週刊アサヒゴルフ』副編集長を経て、77年にスポーツ編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。日本ゴルフ協会(JGA)オフィシャルライター、日本プロゴルフ協会(JPGA)理事。逗子・法勝寺の住職も務める。

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