「佐渡島の金山」が変えた日本外交の「安倍基準」 世界遺産登録めぐり日韓の外交が機能した

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「佐渡」の登録決定後の韓国の状況として、東京新聞が特筆すべき記事を出した。

同紙は、韓国・アジア平和と歴史研究所の韓恵仁・研究委員が「私たちが労働の強制性が読み取れると考える資料が含まれている」と評価していることを報じた。韓氏は、史料をもとに精緻な分析を進めることで定評があり、韓国国内の急進的な主張を掲げる団体のメンバーからも支持を得ている存在だ。

韓国の識者も評価

ただ韓氏の指摘のように、理論的側面から批判する声が高まらないとしても、政治面はまた別の話だ。2024年4月の総選挙で与党「国民の力」が歴史的惨敗を喫し、尹政権は常に低支持率にあえぐ。政府・与党を攻める材料として、「佐渡」が今後も使われる可能性は排除できない。

それは日本も同様で、「安倍基準」の後退が今後、どういう形で取り上げられるかわからない。

「佐渡」の登録には外交が機能したが、双方の政局は不安定で日韓関係全般の先行きはなお霧の中だ。

箱田 哲也 朝日新聞記者

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はこだ てつや / Tetsuya Hakoda

1988年4月、朝日新聞社入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、1997年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、1994年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。1999年からと2008年からの2度にわたり、ソウルで特派員生活を送った。

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