TSMCは製造技術のさらなる進化に余念がない。同社の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める魏哲家氏は決算説明会で、次世代の2nmプロセスの量産を2025年に開始すると繰り返し強調した。
魏氏によれば、2nmプロセスの半導体は前世代(の3nmプロセス)と比較して、消費電力が同じなら演算速度を10~15%速く、演算速度が同じなら消費電力を25〜30%減らすことができるという。
「わが社の2nmプロセスの採用について、AI半導体(の設計)を手がけるほぼすべての顧客が検討中だ。2nmの量産開始から2年間で生産するチップの数は、3nmや5nmの時を上回る(急速な立ち上がりを見せる)だろう」。魏氏はそんな強気の見通しを示した。
先端プロセスに集中投資
AI半導体の受注急増を受け、TSMCの先端プロセスは生産能力が逼迫している。今後の生産能力増強について、魏氏は次のように語った。
「すでに発表済みの生産能力倍増計画を、予定通りに進めていく。足元の生産能力不足は2025年まで続くが、2026年には緩和するだろう」
TSMCの今後の投資計画について、同社CFO(最高財務責任者)の黄仁昭氏は決算説明会で、2024年通期の予想投資額のレンジを以前の280億~320億ドル(約4兆3948億~約5兆226億円)から300億~320億ドル(約4兆7087億~約5兆226億円)に引き上げると明らかにした。
その7〜8割を先端プロセスの研究開発に投じ、AI半導体のさらなる需要拡大に対応するのが狙いだ。
「わが社は(先端プロセスへの)継続的な投資を通じて、顧客の事業拡大をサポートしていく」。黄CFOはそう述べた。
(財新記者:劉培林)
※原文の配信は7月18日
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