新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(上)
先ほども申し上げましたが、私どもは回復期に投資を伴う改革を行い、それを継続しています。主に人材育成にいちばん大きな投資を行い、その次に店舗開発、そしてITインフラに投資しています。この3つに対する投資額は毎年数百億円です。04年の回復スタート時に描いた成長のためのシーケンスがあるのですが、プライオリティとシーケンスの優先順位が重要で、この順序を間違えると回復しないどころか投資のリターンはありません。
シーケンスについて簡単に説明すると、基本は「QSC(品質・サービス・清潔さ)」です。そして「Made For You」という、おいしいものをお届けするために、注文を受けてから調理を始めるシステムです。この戦略では、やるべきことを言うより、やらないことを明確に言うことが極めて大事です。いわゆる選択と集中です。
その次に、客数を獲得するための施策です。客数獲得にも、新規顧客獲得と来店頻度向上の2つがあります。「バリュー」と言う100円メニューから始まり、新メニューの展開、そして24時間営業も新規顧客獲得のための施策です。
メガマック、マックグリドルという商品は大ヒットしましたが、このメニューを04年にいきなりスタートして成功したでしょうか。おそらく大失敗したと思います。既存メニューのおいしさを取り戻し、100円メニューでお客様の期待以上の経験と感動を覚えていただいて、そしてお客様が「作ってくれ」と言わない商品を作ること。
お客様に「どんな商品を希望されますか?」と聞くと、7年前も今も変わらず「ダイエットメニュー、オーガニックなもの、ローカロリー」などとおっしゃいます。ところがメガマックやクォーターパウンダーを発売すると、若い女性がダブルを注文して食べていらっしゃる。
すなわち消費者は、おっしゃることと行動が決して一致していないのです。マクドナルドに求めるものは、マクドナルドにしかないもので、お客様がそれぞれの会社らしさを求めていらっしゃるということです。