新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(上)
今もなお、そのつめ跡を深く残している東日本大震災の影響、その間にも目を見張る成長を遂げる新興国企業の勢力。企業にとってまさに不確実と言える時代に直面している今、経営者はいかにして見えないリスクへの対応能力を養っていくべきなのか。東洋経済「経営戦略フォーラム」では、日本マクドナルドホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長兼CEOの原田泳幸氏にご登壇いただいた。就任当時、急速な店舗展開を発端とする低迷期を迎えていた同社において、さまざまな構造改革を打ち出し、現在に至るまでの連続成長を実現させた氏の講演に耳を傾けたい[本講演は2011年8月29日に行われた]。
2004年から8年連続のプラス成長
まず、日本におけるマクドナルドの位置づけをおわかりいただく意味でも、簡単に歴史を振り返りたいと思います。1971年の1号店オープン以来、創世記、成長期、低迷期を経て回復し、現在、さらなる成長のための構造改革を行っています。
今年創業40周年を迎えますが、震災の影響もあり、自粛ではございませんが派手な記念イベントは慎み、“Beyond40 MAKE WOW”というスローガンを掲げ、記念というよりもお客様に“Wow!”と言っていただけるような新しい感動を、さらに体験していただきたいと宣言しています。
さて、創世記から各ステージを簡単に振り返ってみましょう。ファミリーレストランも含めて外食産業の時代を創ったのが70年代ですが、当時銀座にオープンしたマクドナルド1号店は、誰もの記憶に残る店舗であったと思います。ハンバーガーという新しいライフスタイルを日本に持ち込んだ、この創世記から約1000店舗まで順調に店舗数を増やし、売り上げも利益も上がっていくという成長期へと発展していきました。
ところが90年代に入り、大変厳しい低迷期という時代を迎えるのです。このとき、何が起こったかというと、わずか10年で1000店舗から4000店舗まで増やすという急速な店舗展開を行いました。振り返ってみると、店舗をつくっても人材がいないという状況で、それはレストランビジネスの原点であるクオリティ、サービス、クレンリネス(QSC)という基本的な部分を見失うことにつながりました。