新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(上)

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 もう1つ、歴史から消えていく会社から学ぶ教訓があります。危機に直面している会社を見ると、その会社ならではの顧客価値を忘れていることが1つの共通点として挙げられます。

マクドナルドは不振の時代に、マクドナルドでしか実現できない価値の提言を忘れてカレーライスやおにぎりを展開したり、値段を上げたり下げたりし、また、基幹ビジネスの不振を何とか補完するための新規ビジネスに着手しました。

基幹ビジネスが順調なときの新規ビジネスや、コアの基幹ビジネスを強化するための新規ビジネスであれば成り立ちますが、それが基幹ビジネス不振の補完のためという考え方は、非常に危険だと思います。ここで「らしさ」というキーワードは、極めて重要になるのです。

また、世の中はすべてグローバルに動いている時代です。グローバルの中でも完璧にボーダーレスな商品、価格、流通政策で展開するビジネスもありますが、グローバル戦略でありながら地域の特性に合わせて実行するビジネスモデルもあります。前者を”Think global, Act global”と言いますが、ITビジネスがその代表例です。

私どもマクドナルドをはじめ外食産業の考え方は後者で、”Think global, Act local”です。いずれにしてもブランド政策、サプライチェーン、人材、ビジネスのシステム、ノウハウ、商品戦略についてグローバルな強みを持っている企業は、普遍的な成長をしていくでしょう。

そのほか改革のときにいちばん大事なポイントは、顧客価値を向上させることです。マクドナルドの原点は、新しい価値を生み、それをお客様に提言して対価をいただくこと。この循環がビジネスとなるのですから、顧客価値の向上なき成長はありえないのです。

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