強まるEVへの逆風「グラフで見る」テスラの苦境 値下げでも台数増えず、営業利益率は3分の1に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

足元では最大のライバルである中国BYDに迫られている。四半期ごとのEV販売台数では両社の差はほとんどなくなった。BYDはEVの他にPHV(プラグインハイブリッド車)も手がけている。そのPHVの販売が好調なこともあり、総販売台数ではBYDが圧倒している。

新型車やロボタクシーに期待

今後を左右するのは新型車の投入。2025年前半に安価モデルを含む新型車の生産を開始する予定だ。この新型車は、次世代プラットフォームと現行プラットフォームの両面を利用し、現在の車両ラインナップと同じ生産ラインで生産することができるという。予定通りに投入できるか、期待通りに売れるか、ともに未知数だ。

発表延期となったロボタクシーも、株式市場から熱い視線を向けられている。マスクCEOは4月に、X(旧Twitter)で8月8日にロボタクシーを発表するとしていたが、現在は10月10日まで延期することが示されている。マスクCEOは延期の理由について、「車両を改善する重要な変更を加えたかったから」と決算説明会で説明した。

PwCコンサルティングは、完全自動運転タクシーが生み出す収益が、現状のほぼゼロから2035年には世界で約70兆円に拡大すると予測している。技術的制約や安全性の課題も多そうだが、いち早く実現化にこぎ付ければ先行者利益を得られるだろう。

テスラに対する株式市場の熱狂は冷めてきている。とはいえ、予想PER(株価収益率)は90倍近くあり、依然として期待先行といえる。創業期から長く続いた赤字期間や量産立ち上げの「生産地獄」を乗り越えてきたマスクCEOとテスラは、逆風の中、再び舞い上がることができるのだろうか。

村松 魁理 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらまつ かいり / Kairi Muramatsu

自動車業界、工作機械・ロボット業界を担当。大学では金融工学を学ぶ。趣味は読書とランニング。パンクロックとバスケットボールが好き。東京都出身。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事