強まるEVへの逆風「グラフで見る」テスラの苦境 値下げでも台数増えず、営業利益率は3分の1に

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苦しい状況下でもAIや自動運転領域の研究開発投資の手を緩めてはいない。研究開発費は4四半期連続で10億ドルの大台を超えている。第2四半期には、構造改革などで6億ドル超の費用が発生した。それでもなお6%台の営業利益率を保っているテスラはやはり驚異的という見方もできる。フォード・モーターが7月24日に発表した第2四半期決算は、EV事業のEBIT(利払い前・税引き前利益)は11億4300万ドルの赤字だった。

ただし、テスラの業績が急回復する見込みは立たない。アリックスパートナーズは、2024年の世界の新車販売台数に占めるEVの割合を13%と予測している(2023年は11%)。EVは2ポイント増えるともいえるが、増加分の半分強はテスラが苦戦を強いられている中国市場だ。

トランプ氏は反EVを掲げる

共和党のドナルド・トランプ候補は現行のEV普及政策を廃止する方針を掲げる。2022年8月に成立したIRA(インフレ抑制法)では、一定の要件を満たす場合、EVの購入者が最大7500ドル(約115万円)の税額控除を得られる。11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利すれば、EVに冬の時代が到来する可能性は高い。

現状「モデル3」「モデルX」「モデルY」が税額控除の対象となっているテスラ。イーロン・マスクCEOはIRAが廃止された場合の見通しについて、「テスラに多少の影響はあるだろうが、競合他社には壊滅的だろう。長期的にはIRAの廃止はテスラにとって助けになると思う」と強気の姿勢を示すが、税額控除が打ち切りとなれば短期的な打撃は免れない。

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