「肉の切り方」は"焼き肉の常識"を変えるか 経営しているのは、あの老舗演芸ホール
「7月から生レバーが禁止されるということで、駆け込み需要が起こりました。当店も、それでかなり客数が伸びたところがあります」(坂井さん)。
ただ、同店ではそれが一時期的なものに終わらなかった。「レバ刺しを目当てに来たけど、肉もおいしい」「肉の提供の仕方が面白い」と、味や店のコンセプトを多くの客に認めてもらえたのだそうだ。新しいビジネスがようやく軌道にのったわけだ。
そこで、2012年の10月、店名をそれまでの「ほりたん」から「肉の切り方 ほりたん」に変更した。日本橋本店をオープンしたのが2014年の3月、そして、人形町店が2015年7月。1年に1店という手堅いペースで出店してきたことになる。
幸運が成功に繋がった
ここまでの成功には、いくつもの要素がある。一つには、店舗の「売り」とできるほど、高い技術を身につけたスタッフを擁していたこと。また銀座という立地で割安に出店できたこと。幸運な偶然だと言えるだろう。
さらに2店舗目も、日本橋の再開発事業に影響される形で、一等地といえる立地に出店した。
というのは再開発により、同社が運営していた会席やステーキの専門店「ニュー葆里湛」を移転しなければならなかったため、開発にかかわっている不動産会社に現在の立地を紹介されたのだという。
大きな勝因となっているのが、店名によってコンセプトを分かりやすく伝えるようにしたことではないだろうか。店名だとすぐに分からないことも、注意を引く効果が大きい。もちろん、料理やサービスの品質が伴っており、客の期待に応えられているからこそ、安定した経営を維持していられるわけだ。そのことは、サービス面を担当している坂井さんも肝に銘じているという。
「今の品質・レベルを維持していくかはとても重要です。一番怖いのは『慣れ』です。『これぐらいできていればいいや』と思ったら、その雰囲気はお客様にも伝わります。飲食店はダメになったらあっという間ですから。また、お客の『飽き』にどうアクションしていくかということですね」(坂井さん)。
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