幹線が分断「根室本線」部分廃止は違和感だらけ 2016年の運休からJR北海道は復旧せず放置
さらに、北海道庁も鉄道復旧には前向きとはいえない。2023年3月21日付記事(北海道新幹線「並行在来線」代替バス案の理不尽)でも記しているが、全国の赤字ローカル線を激甚災害から救おうと鉄道の災害復旧を行うにあたっての鉄道会社に対する補助率を引き上げるべく鉄道軌道整備法を改正しようとした際に、道の担当部長が衆議院議員会館に乗り込んでクレームを付けている。
法改正に当たっては、豪雨による被災路線を抱えた福岡、大分、熊本、福島各県知事からの強い要請があった一方で、道のみが日高本線鵡川―様似間と根室本線東鹿越―新得間の被災区間があるにもかかわらず、その改正内容について苦言を呈し「道で策定している計画内容に変更が生じ負担額が増えるようなことがあっては困る」と主張した。しかし、鉄道の復旧費用は道路や河川の予算と比較すれば大きな金額ではなく、起債や交付税措置により都道府県の負担額を軽減する方法はある。
同じ豪雨災害により2011年から長期間の運休が続いていた福島県の只見線の会津川口―只見間の被災前の輸送密度は49人だった。JR東日本は「鉄道として復旧しない」という方針を示していたが、県は東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故などさまざまな問題を抱えながらも只見線の鉄路復旧をあきらめず上下分離方式で復旧・存続を決定。沿線自治体に財政負担の面でも配慮を示し、復旧後は日本一の地方創生路線として多くの観光客が只見線沿線を訪れる。5億5000万円の年間維持費に対して県内だけで6億1000万円の経済効果を発揮している。
沿線自治体では存続の道を模索していた
根室本線の台風被害直後は、富良野市が事務局を務める根室本線対策協議会では鉄路の復活を模索する動きもあった。2016年11月には、千葉県のいすみ鉄道の鳥塚亮社長(当時)を富良野市に招き、鉄道フォーラム「根室本線を元気にする方法」を開催。翌2017年には道内選出の国会議員や国土交通大臣に対する要望活動も実施した。
さらに2018年には、国土交通省に対して、滝川―新得間の沿線自治体の首長と議長の連名で、災害運休が続いている東鹿越―新得間について同区間は「災害時の代替ルートとして、また、観光列車など新たな観光ルートの可能性もあり、道北・中空知地域と道東地域を結ぶ極めて重要な鉄道ネットワーク」であることから「JR北海道が将来にわたって安定的な運営を行い路線の維持・存続」が行えるように、「JR北海道の経営再建に向けた国の支援のあり方の抜本的な見直し」や「老朽化した施設の保全・更新等に関する国の支援や不通区間の早期災害復旧」などを求める要望書が提出された。
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