日産、北米好調で4~6月期は純利益過去最高 ただし中国市場は楽観できず
[横浜市 29日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>は29日、2015年第1・四半期(4―6月期)の連結純利益が前年同期比36.3%増の1527億円と同期として過去最高になった。主力市場の北米で過去最高の販売を記録したほか、円安なども寄与した。進ちょくは順調で、16年3月期通期での業績予想や世界販売計画は期初から変更しない。
第1・四半期の純利益は、トムソン・ロイターの調査によるアナリスト10人の予測平均値1346億円を上回った。売上高も同17.6%増の2兆8993億円と過去最高だった。
営業利益は同58%増の1937億円だった。円がドルに対して前年同期に比べ約20円安く推移するなどの為替の影響で320億円押し上げたほか、コスト削減などにより426億円が増益要因となった。
田川丈二常務執行役員は、第1・四半期について「非常に良い結果が出た」と振り返り、7月以降もこの基調を続けてきたいとの意向を示した。営業利益率(中国合弁比例連結ベース)は7%だった。中期経営計画で17年3月期に8%を目標にしているが、販売増加やコスト削減、収益力強化などの「総合力で1%の上乗せをめざす」と語った。
世界販売は同4.4%増の129万4000台だった。このうち利幅の大きいSUV(スポーツ多目的車)を中心に好調だった北米は8.9%増の48万6000台、欧州は10.7%増の18万9000台。一方、軽自動車税引き上げなどがあった日本が10%減の12万台と落ち込んだほか、欧州のうち、ロシアが12.6%減の3万4000台と不振だった。
<中国は「あまり楽観できない」>
一方、中国事業を担当する関潤専務執行役員は、景気減速感が強まっている中国市場について、全体需要が「4―6月にかけてどんどん悪くなっていって、7月はさらに悪くなっている」と指摘。「これがどこまで続くかだが、株価の影響は間違いなくある。だが、中国政府がしっかり介入を宣言しているので、そんなに長くは続かないのではないか」との見解を示した。
同社は今後、新車投入でてこ入れして販売増加を図る方針だが、「競争の激化は間違いなく増している」状況にあり、「足元が厳しいだけに、あまり楽観できない」と述べた。中国の年間販売目標130万台は「なんとかぎりぎりに守っていくが、そんなに余裕はないと思う」とも語った。
第1・四半期決算に織り込まれる中国販売実績(1―3月)は前年同期比11.3%増の29万6000台だった。セダン「シルフィ」シリーズとSUV「エクストレイル」の好調が継続。排気規制の施行で小型商用車の販売は落ちているが、「総販売台数は計画通り推移している」(田川常務)という。4―6月の販売実績は同0.5%増の29万2000台だった。
(白木真紀)
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