日産の中国戦略、カギ握る「若者向けセダン」 ディーラーとの関係を修復できるか
「全体の需要に心配はない。市場は健全だ」──。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が自信を示す中国市場。1~5月の日産の新車販売は前年同期比で7%増と、販売の約8割を占める乗用車が成長を牽引している。4月下旬、3年ぶりに中国のモーターショーにゴーン社長が登壇、今年投入する新車を大々的にアピールした。
中国市場への本格参入は2003年と日系メーカーでは後発だったが、2009年にトヨタ自動車を抜き、以後は日系で首位の座を保持。北米に次いで販売台数が多く、今や世界販売の約4分の1を占める最重要市場の一つだ。
だが2014年、日産は試練に直面した。ディーラーとの関係が大幅に悪化したのだ。
「ディーラーに苦しみを押しつけた」
2014年度当初、日産が掲げた中国の販売目標は、約18%増の143万台。約6%増という全体需要の前提を大幅に上回る野心的な計画だった。上期は約15%増で折り返したが、下期の急減速が響き、通年では2013年度比で実質横ばいの122万台で着地した。
現地の合弁である東風汽車有限公司の関潤総裁は、昨年の動向について、「卸売りの数を追いすぎて、ディーラーに苦しみを押し付けてしまった」と率直に振り返る。
好調だった上期の販売は、小売りの実情をないがしろにした“押し込み”で達成したものだった。一方、過剰な在庫を抱えたディーラーの資金繰りは厳しくなり、在庫をさばくための値引きで経費もかさむ。関総裁が「日産とはやっていきたくないというディーラーが半分はいたと思う」と言うほどだった。
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