したがってはらっぱはフードコートであり、レストラン街でもある。これまた中野らしい多様性、カオスな設計といえる。
本連載の初回では溝口マルイを訪れ、ここでも軽くはらっぱに触れているが、「フードコートらしからぬ? ラインアップ」だとお伝えしていた。どうやら、マルイはフードコートで個性を出したいらしい。
さて、中野のマルイである。営業しているテナントは結構珍しく、チョコレートケーキで知られる「トップス」の「トップス キーズカフェ」、天ぷらの「つな八 凜」、あとは牛たんに焼肉、と高級系が多い。店頭に掲示しているフードコート用メニューを見ても1500~2000円台のものが普通にある。
故郷の味と、東京の味
うーん、何にしよう。一通り見て回った結果、今日は牛たんの店「仙台 牛たん 青葉」とトップスを選択。仙台から上京して働き始め、ボーナスももらってちょっとお金に余裕が出たので、地元の味と、東京の味を楽しむか――そんな感じ。
青葉であるが、ジェネリックねぎしみたいな店だ。牛たんにとろろ、麦飯とスープが基本セットであり、ご飯のおかわりも無料。ただ、それはイートインだけなのではないか、という疑念が生じた。
白米大好き人間にとっておかわり無料の有無は最重要事項である……。恥を忍んでレジで聞いたところ、フードコート客も対象であるとのこと。僥倖。牛たんとチキングリル定食を注文する。
トップスではチョコレートケーキを注文した。
そういえばトップスってどこの国のブランドなのだろう、と何となく気になったので調べたところ、実は1964年に東京・赤坂でオープンしたレストランにルーツを持つ国産ブランドらしい。チョコレートケーキのイメージが強かったので、レストランがルーツなことも意外である。
ケーキはすぐ到着、座して牛たんを待ち、注文から10分弱で到着した。さっき聞いたのに、提供時に「おかわり無料です」と念押しされ、微妙に恥ずかしい気持ちになる。
茶碗を持ち、立ち尽くす
まずは定食から。牛たんは網の焦げが付いているが、なんだかちょっと冷めている。一方で鶏肉は皮パリで肉が驚くほど柔らかい。こっちのほうが米が進む。スープには具が入っているが、テール肉ではなく、謎の団子。うーん、ジェネリック。しかし、そこもまた乙である。
それにしても米が進む。鶏肉2切れ、牛たん2切れ、とろろ100%を残しておかわりへ。青葉の前へ向かうと、あいにく店員さんがイートイン客の対応をしており、レジ待ちの客もあり。空の茶碗を持ってひたすら立ち尽くす。フードコートでこんな体験はなかなか味わえまい。
一応、後ろ手に茶碗を持って、おかわり待ちではない、ただのレジ待ち客を装う。しかしその努力もむなしく、店員さんが先客の会計をさばきつつ、私に向かって「ご飯のおかわりですよね?」と問いかけてきたので、おとなしく茶碗を白日の下にさらした。すぐさま真っ白い2杯目が提供された、何だろうこの感じ、給食でおかわりしたときの席までの帰り道のような、ちょっぴり恥ずかしい気持ち。
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