OpenAIが「ベーシックインカム」を激推しするワケ AI絶望格差の対応へテック企業が実証実験
金持ちになっている人々に属するアルトマンは、調査報告が発表される前の段階での取材は拒否した。ラビングには、アルトマンをはじめとするテック企業のリーダーがやるべきことについて、いくつかの考えがある。
「シリコンバレーが権力にアクセスできる立場を利用してロビー活動を行い、連邦政府が所得保障を大規模に導入する展開を望んでいる。最終的な責任は政府にあるとはいえ、テック企業はその協力者となるべきだ」とラビングは言う。
シリコンバレーにはもっと強制的に果たさなくてはならない役割があると考える向きもある。テック企業は過去四半世紀にわたって巨万の富を生み出してきた。AIが宣伝文句どおりのものになれば、テック企業は人々の賃金を押し下げたり、多くの仕事を消滅させたりしながら、さらに富を何兆ドルと増やすことになるだろう。
「テック業界には特別な責任」
「すべての富裕層と企業はユニバーサル・ベーシックインカムを支持すべきだが、テック業界には特別な責任がある」と、ジョージタウン大学カタール校の哲学教授で、この問題について共著・編著のあるカール・ワイダークイストは指摘する。
「テック企業は私たちのデータを使用して製品を生み出しているが、私たちに還元していない。おまけにテック企業は、経済を破壊し人々を失業させると言っている」
アルトマンの調査の予算は6000万ドルで、ソーシャルワークと政治学の博士号を持つ学者エリザベス・ローズが雇われた。活動拠点として「オープンリサーチ」という関連会社が設立され、アルトマンが自ら1400万ドルを拠出している。