OpenAIが「ベーシックインカム」を激推しするワケ AI絶望格差の対応へテック企業が実証実験
さらにオープンAIが1000万ドル、ジャック・ドーシーのグローバルな新型コロナウイルス救済基金が1500万ドル、オープンソースソフトウェアのプラットフォームGitLab創業者シド・シブランディが650万ドルを拠出。残りは各種財団、連邦政府助成金、個人、匿名の寄付によるものだ(ニューヨーク・タイムズは、オープンAIとマイクロソフトを著作権侵害で提訴している)。
オープンリサーチは2019年に予備的な作業を経て、テキサス州とイリノイ州で年収が2万8000ドルに達しない3000人の登録を開始。3分の1は月に1000ドルを受け取り、残りは対照群として月に50ドルを受け取った。プログラムは3年間続けられた。
調査項目には、無条件の現金給付が行動にどのような影響を与えるか、例えばストレスレベルや将来の希望に対してどのような効果があるのか、といったものが含まれる。
経済的な安定度が増すことで、中には賃金が下がっても好きな仕事に就いたり、ボランティア活動などの社会参加を増やしたりする人が出てくるかもしれない。学業を再開したり、追加の研修を申し込んだりすることも可能になるだろう。
テック企業の本当の狙いは何なのか
ベーシックインカム推進派の一部には、スタンフォード大学ベーシックインカム・ラボの元所長ジュリアナ・ビダダヌレが言うように、アルトマンらが進める実証実験がAIのための「トロイの木馬」となる可能性を危惧する声がある。
「シリコンバレーは、国家の役割を小さくする方法の1つとしてベーシックインカムを推しているのか。ほかのすべてのセーフティネットを置き換えるのが目的なのか。これはAIを加速させる手段なのか」とビダダヌレは問いかける。