想定以上!「引越のサカイ」が好調な理由 5期連続の増収増益が射程圏

拡大
縮小

作業件数の増加を狙って力を入れているのが拠点(2015年3月末で134拠点、173支社)の拡充だ。中国・四国地区や近畿地区ではシェア20%を超すエリアが多い一方、関東地区はシェア15%~20%、北海道・東北地区はシェア15%未満というエリアが多い。そこで今期は、関東地区で5カ所、北海道・東北地区、中国・四国地区、九州・沖縄地区にそれぞれ1カ所と、合計8カ所の拠点新設を予定している(2015年3月期は9カ所増)。

もう一つが、長距離単身引越者や小口引越の需要取り込み。運送時の積載効率の改善やリードタイムの短縮を狙い、主要拠点にターミナルを設置し、拠点間を幹線定期便のトラックで運送する構想を進めている。ターミナルはすでに金沢、仙台、厚木で開設済み。今後は大阪・高槻や福岡でも開設を予定しており、用地を物色中だ。

グループ売上高900億円が目標

一方、引越業界だけでなく物流業界全体に共通するドライバー不足などの課題については、業界最大手の強みを活かして人材確保を進めていく。

たとえば、物流各社には、ドライバーの免許取得を支援する資金貸付制度があるが、通常は貸付限度額は退職金の範囲内まで。サカイ引越センターの場合、まだ退職金の発生しない高卒新人や、中型免許の取得が可能になる20歳の従業員に貸付を行っている。教習所とも提携し、合宿により短期間で取得することも進めており、こうした取り組みの強化も検討している。

拠点網の拡充のほかに、法人営業の強化やインターネット売上げの拡大も進めながら、中長期目標として2019年3月期の売上高900億円を掲げている。これを達成するためには毎期、5%超の成長を続けなければならない。全国のネットワークの充実させるとともに、そのインフラを十分に生かせるだけの人手の確保が重要になりそうだ。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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