悲しき「口裂け女の都市伝説」が海を渡るまで 2022年7月には台湾メディアで「目撃情報」も

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口裂け女の目撃情報は、熊本県で相次いでいた。口裂け女に精通する作家の山口敏太郎氏によると、口裂け女はお酒が大好きで、特に熊本県の名産品・芋焼酎には目がなかったという。

芋焼酎をガバガバ飲めば、口裂け女といえども二日酔いになってしまう。そして、「二日酔いで気分が悪い……」というときに芋焼酎を差し出されれば、「見たくもない!」となるのは火を見るよりも明らか。

そんなわけで熊本県では「芋焼酎を地面にそっと置く」という撃退法が生まれたのだ(図4)。

(出所:『私のバカせまい史 公式資料集』より)

さらに福岡県では、口裂け女が当時大流行していたインベーダーゲームに没頭。プレイに必要な100円玉を地面に投げつければ、地面に落ちた小銭を必死に拾おうとするので、口裂け女の気を逸らせるのだとか。

そんな口裂け女だが、直後の東京での目撃情報が激変。それまで地味な白かベージュのトレンチコート姿だったのが、東京に出ると赤いヒール、赤いワンピースに変わったのだ。それまでのストレスを晴らすように装いが華やかになり、イイ女へと変身していったのである。

妖怪・口裂け女が逃避行の果てに手に入れたものは?

1980年代になると噂は沈静化し、口裂け女は都市伝説として扱われるようになる。

私のバカせまい史 公式資料集
『私のバカせまい史 公式資料集』(宝島社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ところが1990年、意外な場所で目撃情報が伝えられた。韓国である。なんと韓国では、口裂け女にイケメン彼氏ができたのだとか。

そして2022年7月、今度は台湾メディアで「台南市で、夜中に赤い服を着た少女が現れ、大きく裂けた口でニヤリと笑った」との情報が伝えられた。この少女は口裂け女の子どもなのかも……。

口裂け女は、なぜ「私、綺麗?」と人に尋ねる必要があったのか。

その姿はSNSで「いいね」をほしがる現代の私たちと重なる。彼女の真の恐ろしさは、満たされることのない強すぎる承認欲求だったのだ。そして、アジアを股にかけた逃避行の果てに、彼女は家族という幸せを手に入れたのである。

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