日本人が「幸福」を感じられないのは給料の問題か 前回よりUPも、日本の「幸福度ランキング」は?

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1970年代に所得の上昇が必ずしも幸福感に結び付いていないという「幸福のパラドックス」が唱えられて以来、幸福に関する研究は盛んに行なわれています。年間所得が1万~2万ドルを超える頃から、所得が増えても幸福度は高まらず、頭打ち、さらには低下するという現象です。

日本でも、所得が増加するにつれて、主観的幸福度が増加するが、所得の増加率ほどには主観的幸福感は増加せず、その変化率の比も1100万円で最大となった、という研究結果もみられます。

日本においても経済成長が幸福度に与える影響は薄れている可能性もありますが、直近(2023年10~12月期)の名目国内総生産(GDP)は20年前と比べて13%程度の上昇となっており、経済成長と幸福度の関係についてさらなる検証が待たれます。

物質的な条件だけでなく、精神的な条件にも焦点が当てられ、人々の幸福感を判断する要因は個人間である程度共通していることがわかってきています。

また、脳科学の研究によれば、脳が最も幸福を感じるのは“家族”であるとされています。幸福度に関する研究は、人々が幸福を感じる要因を解明することを意味しており、難しい課題ですが、成功すれば社会に大きな貢献をすることが期待されます。

給与明細の数字は増えているのに

給与明細の数字が増えているのに、生活の豊かさを実感できないことはよくあります。この状況を理解するためには、「名目賃金」と「実質賃金」の違いを考える必要があります。

「名目賃金」は具体的な金額のことを指します。

例えば、月給が20万円から25万円に増えたとしたら、これが名目賃金の増加です。これを喜ぶのは自然な反応ですが、これだけで生活の向上が保証されるわけではありません。

名目賃金の増加だけでは、物価の変動を考慮していません。「実質賃金」は、名目賃金から物価の上昇を割り引いて計算することになります。

名目賃金が増えたとしても、物価が同時に上昇していれば、同じ1万円でも商品を購入したり、サービスを利用したりできる量が減少し、実質的な購買力が低下している可能性があります。

つまり、実質賃金とは名目の賃金が持つ実際の購買力を示すものです。これが「名目賃金と実質賃金の違い」です。

見た目の賃金が上がっていたとしても、生活の充実感が得られないのは、実質的な賃金が上がっていないためと考えることができます。

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