彼らは心を鎮める新たな方法を発明し、失ってしまったものを思い出させる記念の品々を集め、過ぎ去った過去を悼む行事を執り行う。
彼らは儀式を作り出すのだ。
ライフストーリー・プロジェクトを進めていくなかで一貫して見られたもののひとつが、これまでないほど人生に押し流されていると感じたとき、彼らがしばしば解決のための拠り所にしたのが儀式だったという事実である。そして彼らの多くは、それを自ら作り出した。
例えば彼らは歌い、踊り、抱きしめ、罪や汚れを清め、タトゥーをし、テレピン油浄化法を用い、スカイダイビングをし、シュヴィッツ(ユダヤ式サウナ)に入った。境界のない世界では、儀式がその境界を作り出し、大洪水が起これば、儀式が舟を提供してくれる。
形状変化を伴う期間では、儀式が形を与えてくれるだろう。
私はインタビューの際、人生の移行期に入った瞬間をなんらかのかたちに止めたかどうか、全員に尋ねてみた。何がその目印に該当するのかはとくに限定せず、すべて相手の判断に任せた。それは儀式、ジェスチャー、言葉など、いずれにしてもあらゆる種類の記念的要素である可能性があった。
78パーセントの人たちが「目印を残した」と答え、残りの22パーセントは「残さなかった」と答えた。
その具体的答えには、驚くべき創作力とともに、激動の時代にあっても混乱に押し流されないことを確かめる必要があるという、ほとんど本能的とも言える一貫した欲求さえ見て取れた。
儀式には大きく分けて4つのカテゴリーが存在した。回答数の多い順番に並べると以下のようになる。
・ 集団的なもの(パーティーを開く、式典を催す)
・ 名前の変更(結婚後の姓の追加あるいは削除、宗教名を名乗る)
・ 清めや浄化(ダイエットをする、髭を剃る)
多くの人がわかりやすいよう、私はこうした活動をすべて儀式という言葉に置き換えている。儀式とは、移行期に意味を与えるのに役立つ象徴的行動やジェスチャー、あるいは式典である。
新たな物語を組み立てる
人生の物語を語る場合、意味の空白を、意味のある瞬間に変換するための具体的方法として3つの要因を特定した。
ひとつめは、現在と過去という2つの時間を用い、そのあいだに意識的に距離を設けていることである。初めて人生の道を踏み外した経緯を語った物語と、今を語る物語のあいだには、時間的なずれが存在する。