ソニー「ピクセル」は中国を配慮して作られた

中国を揶揄するようなストーリーを削除

「我々は盗まれたメールや、特定のコンテンツ決定についての内部議論についてコメントはしません。」と、東京拠点のソニーの一部であるソニー・ピクチャーズの広報担当者は話した。「映画公開に何がベストかを決定するに当たっては無数の要素があり、創造的な高潔さを損なうことなく広く世界的に訴えかけるコンテンツを作ることが、その中でも最も優先されます。」

中国政府と映画産業高官にこの件についてのコメントを求めたが、返事はなかった。

中国にとって好ましい「ロボコップ」とは?

日本での公開は9月12日

「ピクセル」が唯一、中国に関するコンテンツが慎重に精査されたソニー映画だったわけではない。メールは製作会社幹部がどのように他の製作方法を議論していたかを明らかにした。そこには、中国当局にとってはより好ましい、2014年ロボコップのリメイク版も含まれていた。

2013年のロボコップに関するメールでは、当時のソニー・ピクチャーズ上席副社長スティーブ・ブルーノが、多国籍武器複合企業を中国から別の場所に移すよう提案していた。彼の解決策はベトナムやカンボジアといった東南アジアの国に変更することだった。ただし、映画を見てわかるように、最終的にはこの変更は行われなかった。ブルーノはその後ソニーを離れている。

ソニーのメールには舞台裏の状況も含まれ、世界をリードする映画スタジオが自己検閲によって、北京当局が彼らの作品にどう反応するかを予測しようと、幹部たちが努力していたこともわかる。内部メッセージのやりとりは、ハリウッドが中国の聴衆に深く依存していることも浮き彫りにし、アメリカやカナダでの収益が縮小する中、同国では興行収益が昨年のほぼ3倍の48億ドルに跳ね上がった。

他のスタジオは作品を北京に承認させるために、中国で審査を受けたバージョンに変えるなど、試みとして映画に変更を加えてきた。例えば「アイアンマン3」の中で中国医師が主人公を助けるシーンは中国版では長くされ、中国の人気俳優ファン・ビンビンを出演させている。中国版と国際版を比較すればわかることだ。マーベル・スタジオで製作された「アイアンマン3」は2013年中国で売り上げ第2位の映画となった。マーベルはコメントを差し控えた。

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